『雨に唄えば』(あめにうたえば、原題:Singin' in the Rain)は、1952年の同名映画を原作としたミュージカル。1983年初演。
解説
サイレント映画衰退期のハリウッドを舞台に、舞台裏で奮闘する俳優らをコメディを交えて描いた作品である。脚本はベティ・コムデンとアドルフ・グリーン、作詞はアーサー・フリード、作曲はナシオ・ハーブ・ブラウンと基本的なプロットはオリジナルの映画に準拠している。
1983年にロンドンのウエスト・エンドにてトミー・スティール主演により初演された。それ以降、世界各国にて上演されている。
雨の中をドンが躍る有名な場面は、あらかじめステージ上部に設置されたシャワーを使うことで実際に”雨”を再現している。2014年の日本公演で使用された水の総重量は12トン。2022年公演では14トンの水が使用された。
あらすじ
オリジナル版
- ウエスト・エンド初演
トミー・スティール監督・主演、ピーター・ジェンナーロ振付により、1983年6月30日よりロンドン・パレイディアム劇場で上演。以降、1985年9月まで続くロングランとなった。
- ブロードウェイ
ウエスト・エンド公演からスタッフ・キャストが刷新され、ブロードウェイのガーシュウィン劇場にて1985年7月2日に開幕し、367回の公演と38回のプレビュー公演の後、1986年5月18日に閉幕した。演出・振付はトワイラ・サープがを担当し、舞台美術はサント・ロカスト、衣装はアン・ロス、照明はジェニファー・ティプトンが担当した。
- ウエスト・エンド (1989)
イギリスでのツアー公演の後、1989年6月29日から11月18日までロンドン・パレイディアム劇場に戻り公演。当初は13週間の公演を予定していたが、好評につき公演が延長された。
- ナショナル・シアター
1999年12月から2000年2月まで行われたウェストヨークシャー公演を基に、2000年6月22日から7月20日まで、また2000年12月18日から2001年1月27日までロイヤル・ナショナル・シアター(王立国立劇場)で上演された。演出はジュード・ケリー、振付はステファン・ミア。リナ役のレベッカ・ソーンヒルはローレンス・オリヴィエ賞にノミネートされた。
- サドラーズウェルズ劇場
2004年7月29日から2004年9月4日までサドラーズウェルズシアターで演奏され、ポールケリーソンが監督を務め、ドン役を演じたアダム・クーパーが振り付けも担当した。
- ウエスト・エンド (2012)
2011年にチチェスター・フェスティバル劇場で復活公演されたものが、翌年に再びウエスト・エンドでも公演された。これまでの公演の中での決定版と称される。アンドリュー・ライトが振付を担当。公演は好評を博し、2013年6月まで公演された。2012年にはローレンス・オリヴィエ賞にノミネートされた。
- サドラーズウェルズ劇場 (2021)
2012年版公演が、2021年7月30日から9月5日までサドラーズウェルズ劇場で復活という形で上演された。終了後は引き続いて英国ツアーが2022年3月17日より開始。2020年開始予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延長されていた。
キャスト
日本での公演
正式な邦題は『THE SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』。
2012年ウエスト・エンド版を基にしたものが、以下の三度にわたり公演されている。会場は全て東急シアターオーブを使用。ドン役は、いずれもオリジナルキャストのアダム・クーパーが演じた。
- 2014年
11月に開幕。4万人以上の観客動員を記録し、当時の東急シアターオーブにおける海外招聘ミュージカルでの最高動員記録を樹立した。
- 2017年
2014年公演後にチームは解散していたものの、再演の要望が多く寄せられたことで、日本公演のためだけにアダム・クーパーが主導のチームが結成された。6万人以上の観客動員を記録。
- 2022年
新型コロナウイルス感染症の影響で中止になった2020年公演のリベンジ公演として企画・上演された。また、アダム・クーパーがドンを最後に演じる舞台となる。上演は東急シアターオーブの他、オリックス劇場でも行われた。
当初予定された1月公演は、オミクロン株流行による対策からロンドン在住のスタッフ・キャストに入国制限がかかり再び中止になる。だが、2月7日から計22回の公演を行い千秋楽を迎えることができた。この公演は、演劇界で「奇跡の公演」と評された。
キャスト
日本での舞台化
松竹ミュージカル版
1996年5月から6月にかけ、日生劇場で公演された。
キャスト
- ドン・ロックウッド:東山紀之
- キャシー・セルダン:薬師丸ひろ子
- コズモ・ブラウン:川平慈英
- リナ・ラモント:花山佳子
宝塚歌劇団版
宝塚歌劇団では、2003年に星組が日生劇場で公演。その後、2008年に宙組が梅田芸術劇場で、2018年に月組がTBS赤坂ACTシアターで公演した。いずれも演出は中村一徳。
オリジナルのブロードウェイ版に現代的な解釈を加えた、宝塚らしい華やかさを取り入れたものとなっている。雨の再現も行っている。
キャスト
脚注
外部リンク
- オリジナル版
- SINGIN' IN THE RAIN 雨に唄えば 公式サイト
- シンギン・イン・ザ・レイン-雨に唄えば- (@SITRjp) - X(旧Twitter)
- ミュージカル「シンギン・イン・ザ・レイン ~雨に唄えば~」 (SITRjp) - Facebook
- SINGIN' IN THE RAIN (@217khten) - LINE公式アカウント
- SINGIN' IN THE RAIN 2022 - YouTubeチャンネル
- Singin' in the Rain - インターネット・ブロードウェイ・データベース(英語)
- 宝塚歌劇団版
- 『雨に唄えば』|星組|日生劇場|宝塚歌劇公式ホームページ
- 『雨に唄えば』|宙組|梅田芸術劇場メインホール|宝塚歌劇公式ホームページ
- 月組公演 『雨に唄えば』|宝塚歌劇公式ホームページ




